虫歯を取ったら外側を残して頭の部分がほとんど無くなってしまい、神経が露出してしまった下の前歯。3回虫歯を取って4回目の治療でダイレクトボンディングを施している。「だったら神経を抜いて被せた方が方が簡単確実」と言う歯科医は多いと思う。その上神経を抜いて健康保険外のセラミックをお勧めした方が儲かる。だから私は何をしているのだろうと思う事があるが、神経は抜いてしまえば歯の寿命を損ねてしまう。やっぱり神経を抜くのは最後の手段だと信じている。


これだけ歯が薄くなってしまっていると再び金属の詰め物を入れた所で歯が割れてしまう可能性は大きい。そうなれば抜歯になってしまうかもしれない。虫歯も内部で広がっていて健康保険なら更に削り込んで冠を被せた方が無難なケース。


根元の金属の縁から虫歯が侵入していました。


歯の根元に穴があいていますが、ここにはレジンが詰められていました。レジンを安易に詰めると歯の神経が死んでしまうという事が時々起こります。このケースでも神経が腐って歯の根元が膿んでいました。こうした事故が起きない様に細心の注意を払って詰めるのが一番良いのですが健康保険では根元に出来た虫歯は神経を抜いて「いわゆる差し歯」にしてしまうのが普通です。すると歯の寿命を著しく縮めますので敢えて難しい場所のレジン充填に挑戦して神経を残してくれた前医の先生には感謝しなければなりません。しかし時には健康保険で白い詰め物を強要して神経を自滅させる方もお見えになります。


小さく見えてもそれなりの大きさがあります。右の写真で紫のまだらになっているのは研磨剤の残りかすです。これぐらいなら健康保険でちょっと詰めてもいいじゃないと言われるかもしれませんが、真ん中の写真の様に歯肉をどけてから詰めるだけでもより確実にレジンを詰めることが出来ますし、4種類のレジンを5回に分けて詰めるという手間をかけています。


比較的イージーケース。かといって従来の治療法だと神経を抜くかどうかは微妙な判断を強いられたかもしれない。


神経は露出するし仮止めはすぐに外れるしで治療は正直大変でしたが患者さんはよくがんばってくれました。元はと言えばかみ合わせのきつさが招いた虫歯なので予想外に詰め物を深く削る必要がありました。そのため下地となるべく色の樹脂が出てしまい、歯のシズル感に欠ける仕上がりになったのが反省点です。またこれをきっかけに仮止めの方法も見直しました。


歯の頭の部分の3分の2が虫歯だったという状態でも神経を残しました。患者さんもご多忙だった事もあって7ヶ月掛かりました。ちなみに通院回数はこの歯だけで7回でした。痛くない所を探しながら虫歯を取るという状況でしたが神経の方もよく再石灰化してくれたので神経が少し出ている程度で済みました。


神経が露出する寸前の大きな虫歯です。ここへ金属の詰め物を作っても将来的には問題を起こすでしょうから健康保険なら全体を冠で覆った方が良いかもしれません。右は仕上がりです。虫歯は奥の方になります。


左が術前のレントゲン写真。いろいろ事情があってほぼ一年後に撮影したのが中央のレントゲン写真。従来の治療方法では確実に神経を抜いていた所です。40代の方ですが補綴象牙質が出来ているのが分かります。


左の写真の上に写っている歯を治した所。右の写真の真ん中の歯の向こう側が虫歯があった場所。かみ合わせの部分は古いレジン充填がありましたが痛んでいたので外して詰め直しました。虫歯の穴は小さいですが、中は3倍ぐらいに広がっています。ところで隣の歯と段差がありますが、こういう場所に虫歯が出来やすい物です。